神田真澄の氣ままな話 in 明光武道 深雪館

明光武道 深雪館 道場主のブログ

運動と免疫の関係 〜ソノニ〜

前回の記事の続きです。

 

2)汗をかくことで毒素を排出する ~ゆっくり運動のメカニズム~

先ほど少し書いた
ミトコンドリア”について
まずお話しましょう。

ミトコンドリアは、
心臓、横隔膜や脳、肝臓、筋肉など
エネルギーをたくさん必要とする
細胞に多く分布する細胞小器官で、
細胞分裂をせずに、
エネルギーを産出することを
主な働きとしています。

読者の皆さんも
中学や高校の生物分野で
習ったことはないでしょうか。

光合成の同化や酸素呼吸の異化の話。

ミトコンドリアはこの異化を行う場所で、
酸素と水素を反応させることで
高温(高い体温)の状態で
エネルギー(36ATP)を産出する。

この辺はご自身で、
教科書でも引っ張り出してきて、
勉強し直してみるのもいいでしょう。
(後の2ATPは解糖系で産出。)


このミトコンドリアが多く働くことで、
エネルギーがたくさん産出され、
結果免疫力が高まるのです。

つまり、
ミトコンドリアがよく働けるように
体温を高く保つこと、運動、
筋肉による発熱量を増やすことなのです。

その筋肉については下に分かれます。
・赤筋、ピンク筋:ミトコンドリアが多く分布
・白筋:ミトコンドリアが少ない

そして、この白筋は、
いわゆる激しい運動系、
ジムワークなどの運動に代表される
筋肉で、表皮筋とも言われて
ゴツく見える筋肉です。

つまり、
すぐに膨らんで見栄えはいいが、
ミトコンドリアは少なく、
健康という観点からは
あまり役立たない筋肉群。

もう一方の赤筋、ピンク筋は
ミトコンドリアが多く含まれるので、
エネルギーをたくさん産出できる
筋肉であり、これを増やすには、
ゆっくりとした運動
(だる~く感じる運動)の継続が
必要となります。

これに適した運動法が、
今回紹介する
武道式のゆっくり筋運動です。

重いものも持たずに、
自分の体重(自重)だけで、
ゆっくりと筋トレを行うので、
身体に負担なく
(重い物など持つなど無理することで身体を痛めない)、
しかも上記のミトコンドリアの多い
赤筋、ピンク筋を中心に
鍛えることができる
効率の高い運動法なのです。
だから、老若男女誰でもできる、
そして習慣化しやすい運動なのです。
 

この運動を、人の身体の中で
一番大きい筋肉群である下半身、
特に大腿筋「太もも」を鍛えることで
ミトコンドリアは圧倒的に増えます。

さらには、この大腿筋を使う運動は
脳に影響が大きい
(筑波大の征矢教授の研究から)ともされ、
しかも裸足で実践することにより、
末端の指等使用することで
脳を刺激することから
抹消の血流も促進する相乗効果もある
とされてます。

それでは、運動法と
そのメカニズムを話しましょう。


◎武道式スクワット
(1)基本姿勢:足を肩幅くらいに開き、仙骨を立てる。膝を痛めないよう足先を真っ直ぐにする。

手の甲を上にして脇にボール一個分ほどのスペースを空けて掌底を下にして、臍下丹田の高さに据える。

(2)足は全て地面につけたまま、踵重心でゆっくりと曲げていく。そのままま進めて、曲げ切らない箇所で

(3)足を地面につけたまま、爪先重心に移動させて、ゆっくりと今度は持ち上げる。持ち上げて、足が伸び切らない状態で

(4)また同じ位置(踵重心)に戻して、スクワットを繰り返す。
最初は15回ほどを目処に実践。慣れてきたら、回数を増やして50回を目標に行う。ほんの数分で畳一畳あればできる筋運動です。(拙著に写真掲載されてますので、興味ある方はご覧ください。セミナーや講習会では実践します。)


◎メカニズム
(1)上のように、スクワットを開始して、屈伸しても曲げ切らず、伸ばしても真っ直ぐ立たないことで、血流を抑制する状態を作り出します。

(2)それが継続状態となると、下半身(太もも)の筋肉群は、血液から酸素をもらえずに酸欠状態になり、筋肉が疲労状態となります。

(3)そのことで、筋肉から乳酸が放出されてそれが血液に溶け流れ、脳へ達します。

(4)脳は、その乳酸に反応して、下半身の筋肉が重労働のため疲労していると思い込み、それを援助するためにホルモンを分泌させます。

(5)そのホルモンが「成長ホルモン」です。このホルモンは
・筋肉のエサとなる中性脂肪を分解させます。(脂肪分解)
・筋肉群を増強させる。(ミトコンドリアの多い筋肉群を強化)
・細胞を再蘇生させる。(お肌がツルツルに!)
などの働きをします。この働きこそが、”若返りホルモン”とも言われる所以です。

(6)第二の心臓とも言われる大腿筋(太もも)を中心とした筋肉群を刺激し続けることで、心臓を援助する(つまりW心臓)ことになり全身に血流が十分に行き渡すことができます。
 

ここで、タイトルの
毒素を排出させることに繋がるのですが、
このホルモンの働きで、
分解された中性脂肪ですが、
そこには脂溶性の化学物質、
重金属(化学添加物等由来)などが
含まれており、
血液に脂肪と一緒に溶けて流れます。

つまり汗として、
この毒素を体外へ排出できるのです。
(推奨:この脂肪が血液に溶けてる間に、
有酸素運動的な行動をする、
例えば階段を登る、歩くなどの行動を
プラスすると、この脂肪は燃焼して
さらに毒素排出としていい効果が生まれます)

毒素排出では、
岩盤浴などがよく推奨されますが、
その状態を自身で作り出すことが
できるのが、この運動習慣なのです。

さらには、足裏には全身経絡
リフレクソロジー)があり、
それを刺激することにもなります。

この運動法のメリットは、
まだまだあります。

仙骨を立てた状態
(つまり骨盤を立てた状態)を
キープしたまま、
スクワット運動を行うことで、
腰回りの筋肉(体幹)を
同時に鍛えることができます。

巷では体幹運動等
ピラティスなど)の流行りを
よく耳にしますが、
西洋的に筋肉を部分的に
鍛えるのではなく、
全身の筋肉の繋がりを持たせて、
一つの身体として
行うことに意義があります。

つまり全身のバランスが大事なのです。

部分的な筋力の強化は(加圧トレーニングなど)
あくまでもリハビリ的な要素であり、

健康な身体を創る上では、
全身を繋げてバランスよく
筋肉を鍛えることの方が重要なのです。

追加談ですが、
現代では転倒事故が非常に多いと聞き、
しかも若年層にまで多いと聞きます。

日本は元来草履文化だったのが、
明治以降から靴文化に代わり、
足裏の筋肉が使われなくなった背景もあり、
この事故が増えたと考えられます。

その防止法として、
この運動メソッドは推奨です。


このように、一石数鳥にもなる
運動を実践することで、
ミトコンドリアの多い筋肉を増やして、
体温を高くし、免疫力を高めることで、
自ら病気知らずの身体を
創ることができるのです。


字数の関係上、
急いで簡略に書きましたが、
情報として知っているだけではなく、
大事なのは実践することです。

そして、さらに大事なのは習慣化、
つまり継続することです。

名言「継続は力なり」は、
古の叡智の言葉です。

知ったかぶってても、
実際に行わなければ何にもなりません。

やるかやらないか!です。

やれば必ず身体は応えてくれます。

イムリートッピクスですが
W杯ラグビー日本代表のように、
努力は報いてくれます。

本来、この世に病気など
存在しないのですから。

って、また話が長くなりそうなので、
それはまた次回にw。


最後に、明光武道の核である
「氣」の観点から。

当道場では
三つの分野の調和が保たれて、初めて
根源的な力である「氣」
(生命エネルギー)が高まる
と定義しています。

その三つとは、
「食(腸トレ)」であり、
「瞑想(心トレ)」であり、
そして「運動(筋トレ)」なのです。

 
”健康”というキーワードから考えると、
今回の記事で「運動」により
毒素を排出した後は、
良質なミネラルや油分等が必要
となりますし、
そもそも毒素を溜めるような悪食を
避けることも重要となってくる、
つまり「食」の分野にも関わってきます。

さらには自律神経
(交感神経や副交感神経の拮抗作用から
免疫細胞のバランスを整える)意味でも
「瞑想」は重要な分野ですし、
全てが繋がっています。

偏った考えから、
一分野のみ強くするとか、
またこれが
絶対的なメソッドのような類は
ないのです。

これは免疫学の世界的権威であった
安保徹博士も提唱されていた、
免疫を高めるには
「腸(腸内環境)」
「休息(リラックス)」
「体温(筋トレ)」の三つが
大事であること、
核の部分は殆ど同じ主張です。

究極は全て同根です。

興味少しでも湧いた方、
全てのお話を聞きたい方は講習会、
真剣に学びたい方は道場に
来ていただければと思います。

正しく学んだら、早速ご自身の
ライフスタイルに組み込んでもらって、
健康で元氣な日々を送ってもらえれば
嬉しい限りです。

 


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写真は実践セミナー講演での一幕。実際に武道式運動メソッドを実践してもらってます。健康習慣のキッカケににってもらえたら嬉しい限りですね。